東京国際スポーツメディスンイノベーションフォーラム

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RTP from concussion

招待講演

ラグビーワールドカップ、ホスト国の一員として、横浜で4試合ほどメディカルサポート(マッチデイドクター、MDD)をさせてもらいます。MDDの仕事は試合中の脳振盪と出血のマネジメントです。脳振盪疑いの選手を特定し、評価するか、またチームのメディカルといかにうまくコミュニケーションが鍵となります。 近年、スポーツ脳振盪に関する短期的、長期的なリスクが多数報告されており、訴訟や競技規則変更など、社会的にも大きな問題となっています。診断・治療・リハビリテーションに関する学会発表、論文は多数ありますが、不明な点が多く、現場のメディカルスタッフにも大きなプレッシャーがかかっています。 招待講演は、ピッツバーグ大学のMichel Collins先生です。これまでひとくくりにされていた脳震盪をタイプ別に分類して、よりフォーカスしたリハビリテーションを提唱し、実践されています。また、東邦大学附属大橋病院の中山晴雄先生には、日本での現状も踏まえた最新知見についてご講演いただきます。その後のディスカッションでは、座長として参加して、現場で生じている疑問や問題点について、より突っ込んだ話をうかがいました。

- 講師

  • Michael Collins, PhD(UPMC Sports Concussion Clinic)
  • Alicia Trobovich(UPMC Sports Concussion Clinic)
  • 中山 晴雄(東邦大学 講師)
  • 坂根 正孝(医進伝新 代表)

RTP from concussion
中山晴雄 (東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科)

中山晴雄 (東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科)

スポーツ関連脳振盪からの復帰に関して、国際スポーツ脳振盪会議により段階的競技復帰が推奨されていることは、周知の事実である。しかしながら、実際には、段階的競技復帰を実施するだけが復帰の過程ではない。復帰を進めていくためには、正確な症状や徴候に対する評価が必須であり、その上で、種々の病態を明確にしていくことが必要である。何よりも、段階的競技復帰の前に段階的就学復帰、段階的就労復帰が望まれる。従って、日常生活に支障を来す要因をひとつひとつ丁寧に解決し、その活動範囲を段階的に拡げていく作業が必要である。加えて、競技復帰のうえで重要なことは、如何にして次の脳振盪を予防するかである。これには、個人特有の危険因子と競技特有の危険因子のそれぞれについて検討する必要がある。本講演では、これらスポーツ関連脳振盪からの復帰に関するPitfallに焦点を当て概説する。

It is a well-known fact that the International Sports Concussion Conference recommends the Graduated return to play protocol (GRTP) for return from sports-related concussion (SRC). However, in practice, only carrying out GRTP is not in the process of the return to play. In order to proceed with the return, it is essential to evaluate the correct symptoms and signs, and then it is necessary to clarify various pathological conditions. Above all, graduated return to school and graduated return to work are recommended before GRTP. Therefore, it is the major point to careful assessment the problem factors of daily life one by one and gradually expands the activities of daily living. In addition, what is important for return to play is how to prevent the next concussion. This requires consideration of individual and competition-specific risk factors. In this talk, we will focus these Pitfall of RTP from SRC.

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RTP from concussion